SHAWN TSUJII'S

英語の4技能の幻想について

おはよう、ショーンだ。

私は宇宙が好きだ。子供のころから宇宙が好きだ。寝る前に宇宙について考えるのが日課だった。好きな惑星は木星。理由はよくわからない。なぜか神秘的に思えて仕方がないのだ。ホルストの惑星組曲で一番好きなのも木星だ。

宇宙のことをもっと知りたいと思って、子供のころ一生懸命に勉強した。

ただ、何もわからない。

木星がガスでできていることや、気温が摂氏マイナス140度であること、サイズは忘れたが非常に巨大なことなどを知っただけで、それ以上の「高い次元」のことはさっぱりわからないのだ。

次元が違う。

水槽の金魚が水槽の外の世界を知ることができないことや、虫が人間社会を理解できないのと同じで、ヒトは高次元の宇宙のことを理解することは無理なのかもしれない。

それでも、私は宇宙について考えることが好きだ。

宇宙好きのあなた、機会があればぜひ一緒に語り合おう!

ところで、あなたは英語の4技能というのは聞いたことあるだろうか?

スピーキング(話す)、リスニング(聞く)、リーディング(読解)、そしてライティング(書く)の4つの技能のことだ。

その4つの技能を身につければ「世界に通じる人間になる」と主張する英国発祥の世界的に有名な語学学校があり、日本の学校教育、民間の英会話教室を含む、世界中の英語教育機関が、その「英語の4技能」論を盲従している。

「4技能を鍛えるとあなたは英語ができるようになります」ということで、生徒たちは4つの技能をそれぞれ「一見専門的な」やり方で学ばさされる。

あなたは勉強した気になるかもしれないが、英語が話せるようにはならない。

この4技能の方式は、あまりに大きなウソであり、もう100年近くの伝統となっているので、ほとんどの人はそのウソを見破れないでいる。

心理学で言うガスライティング(gaslighting)の恐ろしさに近いと私は思う。ガスライティングのことを知らない人は、調べてみて。

4技能をバラバラに取り組んでも言語能力が伸びるのは、子供のころからそのことばを話してきたネイティブだけだ。

大人になってから外国語に取り組む人にとっては、4技能にそれぞれ取り組んだところで効能は微々たるものに過ぎない。

ヒトのコミュニケーション能力はもっと高次元にある。

バラバラにした4技能からの視点では、高い次元の世界は見えにくい。

英語を分解可能なモノとして見ることに慣れてしまったせいで、ほとんどの人が高次元のヒトのコミュニケーションというものに対して盲目になってしまっている。

あなたも、50音をマスターしたから日本語が聞き話せるようになったり、家族とコミュニケーションできるようになったわけではありますまい。

哲学家ホセ・オルテガ・イ・ガセットは「細分化されたサイエンスや専門家が、大衆を愚民たらしめている」と論じた。

人類が分析や類型化を押し進ませ過ぎたあまりに、本来は大きなひとつのものが細分化され過ぎてしまい、次元の高いものが見えなくなってしまっているということだ。

アリストテレスは「全体とは部分の総和以上である」と言った。

部分を組み立てても、それだけでは「全体」とはならない。

例えば、私の身体をパーツごとにバラバラに分解する。そして、その何百ピースもの部分を、再度組み立ててみるとする。そこに私ショーンはいるのだろうか?答えはノーだ。

全体性というのが見過ごされている。

「細分化された言語学や英語教育学が、大衆からヒトとしてのコミュニケーション能力を奪っている」

それが、私が言いたいことだ。

・英語学習に疲れた。
・英語を好きになりたい。
・一度でも良いから、英語がペラペラの気分を経験してみたい。
・英語の成功体験が欲しい。

そういうあなたには、大きな視点から英語を見つめ直す点検作業が必要だ。

次元を上げよう。

本質的な学びは、語学というより、あなた自身を知る旅となるかもしれない。

部分ではなく全体を見ることができれば、あなたはネイティブ状態で英語を話すことができるようになる。


ショーンツジイ

文化人類学者
英語道場 升砲館 館長


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