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「不易流行」日本語の旧字体と英語の発声法

こんばんは、ショーンだ。

昔、親友のアメリカ人が日本語の旧字旧仮名遣いをマスターした。

私も旧字旧仮名を書けるようになりたいと考えて、福田恒存先生の名著「私の国語教室」を読んで一生懸命に勉強した。私が20代半ばのころだから、もう20年以上前の話だ。

旧字旧仮名で書くと、以下のように言葉遣いまで変わってくる。

「果たして、この私が彼のやうに昔の國語をマスターすることなどできるのだらうか?」と思ひながらも、無我夢中で毎日々々學んでゐるうちに、こんな私も、きはめて短期間で舊字舊假名遣いを覺えることができて仕舞ひました。

さうして氣をよくした私は日常の日本語は全て舊式で書くやうに變更したのです。

「ヨーシ、やるゾ!」と手書きの手紙もメールも全て、そのやうに舊字と舊假名で書きまくる。

ただ、さういう書き方を續けてゐると、周圍の風當たりが强くなって來るのです。

矢張り、現代人には舊字は面倒くさく思へて仕舞ふのでせうか、「ショーンの文章は讀み難い!賴むから普通の日本語に戾してくれ!」の大合唱。

私も意地になり、それでも數年閒は舊字舊假名使用を通してをりましたが、36歲のときに「もう、そろゝゝ良からう」と考へ、私は舊字に別れを告げ、新字表記の日本語に戾って參りました。

それ以来、私は普通に新字での日本語表記を続けている。

↑寺町通りにあった以前の京都オフィスの前に出していた看板は、私が旧字旧仮名づかいをしていたころに作ったものなので、「英会話」や「教室」などの漢字が旧字になっている。

最近「あの緑の看板が好きだった」という声を複数お寄せいただいたので、少しの期間また旧字旧かなづかいを使ってみることにする。

世の中のどれほどの人が、私のようなレトロ趣味(私はアールデコよりはアールヌーヴォー派)をお持ちかはわからないが、私が昔のものを愛好するのは松尾芭蕉の「不易流行」や孔子の「温故知新」という「古いものを大切にしながら、最新を取り入れる」という考え方に敬意を持っているからだと思っていただけたら幸いだ。

世の中には、最新のものだけを追いかける人もいる。

他方、昔のものだけを「素晴らしい」と認める人もいる。彼らは、やみくもに昔のものを崇拝し、現代のものを全否定していて、「昔のものは無条件で全て良い」という安易な考え方をしてしまう。

残念ながらどちらも頭が固い。

最新のものでも、良くないものはたくさんあるし、昔のものでも、単純に悪いものは悪いのにね。

不易流行の思想「昔から学ばせてもらい、最新を取り入れる」は本当に大切で、それは升砲館でも考え方の軸となっている。

たとえば、升砲館で行っている英語の発声法だけでも、2000年以上前、600年以上前のメソッドを用いながら、世界でもまだ誰も取り入れていない最先端のメソッドを併用して門下生たちは日々学んでいる。

やっぱり不易流行だよ。

私が開発し升砲館で行なっている訓練法も、ヒトにとって非常に普遍的な性質を持ったメソッドなので、普通だったら1500年〜2000年は持つと思う。それ以上先になると、もう形質的に人類が相当変わってしまっていると思うので無理かもしれない。まあ、最低でもAIが発達してヒトの脳に直接繋がれるようになるまでは、私のメソッドは充分に持ちこたえると思う。

あ、ビジネスで英語を使う立場にある人も、発声法を英語向けに変えるだけで「非常に大きな」メリットがある。

信用されるし、全てのコミュニケーションが円滑になってくるよ。

書いているうちに長くなってきたので、今日はこれぐらいにしておく。

さあ、門下生たち、今日も良い声を聞かせておくれ!

美しい英語の音を私の耳に届かせてくれ!

それが私の元気の源だ。


ショーンツジイ

文化人類学者
英語道場 升砲館 館長


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