今週は尊敬しているマーケティング界のドン北野哲正先生と食事をするために、伊豆に行っていた。私はかつて北野先生のマスターマインドで学ばせていただき、またコロナ前は北野先生は升砲館で英語トレーニングに取り組まれていた時期もある。
人を惹きつけるお方で、本当に格好よくてお洒落な方だ。自分に厳しい方なので、英語もうまい。
さて、今日は独学でできる英会話術のヒントを書く。
英語と日本語では、そもそも発声法が違う。
歴史学者マクニールや英語方言学者スターンも共通の見解だが、地域や文化が違うと、ヒトは筋肉の使い方が異なってくるので、当たり前のように発声も大きく違ってくるのだ。
ただ、異文化の発声法は難しい。
その理由は、認知の問題だ。
例えば、父親の扁平足を遺伝で受け継いだ私ショーンは、扁平足。
扁平足というのは、足の裏の土踏まずのアーチがなくて平らな形の足のことだ。
「扁平足は疲れると聞いたが、それは本当か?」
という質問は、人生で暮らしたアメリカ、カナダ、イギリス、日本、どの国でも尋ねられたが、私は扁平足しか知らないので答えようがない。
それしか知らない。
発声法もよく似ている。
アメリカ人にとっては、それしか知らない英語式の発声法。
日本人にとっては、それしか知らない日本語式の発声法。
通常、両者は混じり合うことがない。
私は英語と日本語のバイリンガル環境で育ったが、無意識で発声を使い分けていたし、両者の違いを説明できるようになってきたのは30年くらい前の20歳のときだ。長年教師をしているおかげで、今はもっとうまく説明できる。
では、日本人が英語の発声を手にいれるためには、どうすれば良いのか?
升砲館では多くのテクニックを学ばれているが、今日は自宅で独学でできる手がかりを紹介する。
軟口蓋について。
アメリカの耳鼻咽喉科(ENT)のドクターが患者に言うことのひとつに、「健康のために、ちゃんと話すために、軟口蓋をしっかり上げなさい」というのがある。
アメリカ英語では/m/ /n/ /ŋ/ などの鼻音以外の発音のときは、常に軟口蓋(のどちんこ辺りの筋肉の壁)が挙上しており、咽頭と鼻腔がしっかりと隔てられている。
軟口蓋を上げるだけで音の響きが大きく違ってくる。
意識的に行った人間でないと、この違いはよくわからない。
上記の扁平足の例と同じで、音声学者やスピーチセラピストでもない一般のアメリカ人に「軟口蓋を上げていますか?」と尋ねても、彼らにとっては上がっている状態が普通なのでよくわからないのだ。
日本人に「日本語を話すときに軟口蓋を下げていますか」と聞いても同じようなもので、やっぱりわからない。
異文化では「当たり前」が違うのだ。
ただ、ヒトの特性として、あくびをするとき、ゲロを吐くときなど、私たちは軟口蓋を上げる。
その状態を作って声を出してみよう。
どのような響きの違いが観察されるか?
実験と観察が、あなたを成長させる。
がんばって。