英語発音ができるようになるという触れ込みで、ここ20年ぐらいフォニックスが流行している。
結論から言えば、英語発音のためにフォニックスを学習しても何の役にも立たない。
その理由とは何か?
そもそもフォニックスとは?
もともとフォニックスというものは、文字と発音の関係を学ぶものであり、英語圏で児童に読み書きを教えるために開発された学習法だ。
フォニックスはあなたの発音向上に何の役にも立たない。
ちょっと考えたらすぐわかることだが、理由は極めてシンプルだ。
フォニックスのやっていることを例に出すと、「英語のawという綴りが/ɔː/という発音になるというルールを知っていれば、hawk(ワシ)という単語が読めるようになる」というものだ。
フォニックスは、英語圏の児童には役に立つだろう。
英語を耳から覚えていてちゃんと発音できるネイティブなので。
フォニックスを日本語で例えると、漢字の読み方を覚える学習
英語のフォニックス学習法は、日本語で例えると、漢字の音読みと訓読みを学ぶようなものだ。
そう、いくら漢字の音読みと訓読みを学習しても、日本語の音が出せなければ、日本語として発音することはできない。それと同じだ。
識字率(文字の読める人の割合)が日本よりも低いアメリカだと、子供向けの基礎的な学習としてフォニックスは役立つだろう。
しかし、日本で大人が一生懸命にフォニックスを学習しても仕方がない。
お金と時間をかけてフォニックスを学んだその先には、一体、何があるのだろう?
読み方は知れたが、自分の英語は日本人英語発音にしか聞こえない
今まで、私はかなりの数の日本人のフォニックスの先生たちに発音指導を行ったが、彼らの共通した悩みがそこなのだ。
発音をliterature(書かれたもの)としては知っていても、orality(声)が欠けているので、できない。
ソシュール言語学的に言えば、虚像のシニフィアンをいくら学んだところで、実体のシニフィエを知らねば無益。
日本で言えば、重複が「じゅうふく」ではなくて「ちょうふく」と知ったところで、実体としての音素が出せないと正しく発音できない。
フォニックスで英語の発音ができるようなるなんて、絵に描いた餅
絵に描いた餅を売ろうとする日本国内でのフォニックス教育の宣伝文句は、英語学習者を騙しているだけではなく、ことばの教育の本来の在り方を蹂躙するものだ。
そういう点で、私は彼らの行いに対して非常に不満を持っている。
ただ、ある意味ではフォニックスに煽られて先生にまでなった人たちも被害者かもしれない。
熱心な先生であればあるほど、ジレンマを抱えている。
しかし、
フォニックスの先生たち、あなた方もフォニックスが発音向上に役に立たないことに気づいているでしょう?
本当にこのままフォニックス教育に加担していて良いの?
生徒さんのためになることをやりませんか?
英語教育のためになることをやりませんか?