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自信がないから英語が話せないという悪循環から抜け出すために

写真は先日、友人のフォトグラファーHikaru氏に撮ってもらった私のジープラングラーの運転席。まるでカタログのような写真でとてもかっこいい!Hikaruちゃん、素敵な写真を撮ってくれてありがとう。

さて、古代ギリシャの雄弁家デモステネスが言っていたように、プレゼンテーションなどで自信があるように振る舞うのはとても大切だが、それは必ずしも雄弁家には自信が必要だということを意味しない。

今日の記事の題名「自信がないから英語が話せない」という考えを耳にしたことのある人も多いはずだ。

私は断言しても良いが、ヒトが英語が話せるようになるには、自信も信念もさほど要らない。

自分に自信が無くても、全く大丈夫。

歴史上の偉人の記録を見ても、自信が無いときは、よそから借りてくるぐらいで良いのだが、では、なぜ多くの人が「自信がない」という問題に悩まされているのだろう?

もくじ

英語を話すには自信は必要なのか?

もちろん、私たち人間にとって、自信が大切であることは間違いない。

ただ、「自分は自信がないから英語が話せない」という考えに取り憑かれている人が世の中にとても多い。

一体、その考えはどこから来たのだろう?

「もっと自信を持って!」という熱心な教師からのアドバイスが発端になっているのかもしれない。

その教師にも悪気はないのだろうが、「自信」という強力な条件付けが糊付けされていて、そのような過度な条件付けにコントロールされてしまうと、私たちはできるものもできなくなってしまう。

「自信」ということばの裏には、見えない罠が隠されている。

言語の本能 by ピンカー

バイオリンの英才教育で知られる鈴木鎮一先生は、世界のどこの文化圏でも、子供たちが現地のことばを普通に話していることに着目され、世界のスズキメソッドを創始された。

思い出して欲しい。自信があったら、私たちは子供のころにことばが話せるようになったのだろうか?

少し大袈裟にも聞こえるが、言語学者スティーヴン・ピンカーは言語活動というものをヒトの本能に例えた。

クモが巣を作るとき、そこに信念はあるのだろうか?自信はあるのだろうか?

クモはただpractice(実行する)だけである。

「自信がないから英語が話せない」という考えは、因果の前後が違うという点で、のび太が「うまくなったら練習するよ」と言ったのと同じようなものだ。

では、なぜそういう誤ちに多くの人が陥ってしまうのか?

知識偏重の詰め込み英語教育、実践に見せかけた成果の出ない英会話レッスン、心なく他人をイジったり茶化す最近の日本社会など、自然に英語を習得することのできない原因はいろいろとあるが、ここで私の述べたいのは、もう少し根本的なポイントである。

誤ちの根源、英語をモノとして見過ぎている

その根源は?

英語をモノとして見過ぎていることである。

北米の先住民であるインディアンたちには、17世紀当時、土地を所有するという感覚はなかった。ヨーロッパ人の出してきた訳のわからない書類にサインさせられ、住む場所を奪われていった。インディアンは、土地は所有するものではなく、ヒトが土地に属しているという考え方だったのだ。

現代に於いて英語力は財産のような所有物に見られることが多い。

英語を学ぶことは自己投資と言われることも多いし、たしかにその通りのところもある。

ただ、英語を所有物と捉えて、財産に見立てたその英語力を、自己に投影し過ぎているケースがあまりに多い。

ようく考えてみて欲しい。

今のあなたの英語が流暢でなくても、英語の語彙が少なくても、それはあなたの値打ちを損なうものでもなんでもないよ。

英語とあなた、両者は別のものだし、正しくトレーニングをすると、必ずあなたの英語は上達するのだから。

大切なことは、、、

自信が無いとダメという考えは無視して良い

もちろん、自分のことを好きでいることはself-esteem(自己尊厳)と密接で根本的に重要だ。特に大人は自分のことをもっと愛するべきだと私は強く信じている。

ただ、「自信が無いとダメ」ということばの条件付けからは、解放されよう。

ヒトの発明した言語は便利な道具であると同時に、毒でもある。

そのような条件付けから解放されて、のびのびと流暢な英語を伸ばして欲しい。

自信は後からやってくるから。

英語の身体性やマインド、文化に着目して正しくトレーニングを行うと、結果的にあなたは揺るぎのない自信を持って自然な英語が話せるようになる。

在り方が一番大切だよ。

気楽に大きく行こう。


ショーンツジイ

文化人類学者
英語道場 升砲館 館長


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