SHAWN TSUJII'S

次世代の英語、周囲に貢献する英語を身につけよう

私が20歳のころ、バンクーバーで日系カナダ人のアンディ向井さんに言われたことがある。旅行会社を経営して大きな成功をおさめていたお方だ。残念ながらアンディは数年前に亡くなりもうご存命ではないが、私は彼に言われたことばを今でもよく覚えている。

「おい、ツジイ。英語がうまいからっていって偉そうにしたらあかんぞ。英語ができる人間なんて世界に山ほどいるんだからな。英語と日本語ができるんだったら、それを使って何をするかが大切なんだ。」

特に私は偉そうにしていたわけではないのだが、アンディが言ってくださったことは、本当にその通りなのだ。

「英語を使って何をやるのか?」

ジョン・デューイ(米国の哲学者、心理学者、教育改革者: 1859 – 1952)の影響を受け、制度化された学校教育というものに大変批判的だった私は、学校教育と同様の語学教育の手先には絶対になりたくなかった。

民間の英会話スクールでも、結局は学校教育とやっていることは同じだし、私はただの英語教師になんかなりたくない。そういう思いを常に持っていた。

かと言って、世界で行われている英語教育というものは、どこまで行ってもかなり画一的。私は文化人類学こそがヒトの本質的な外国語習得に役立つものであるという確信を10代のころから持っていたが、当時はまだ他人にそれを説明できるレベルではなかった。結局、私は文化人類学と英語教育を結びつけるのに10年以上の研究を要した。

私は文化人類学を愛する人間だ。ことばと文化、ヒトを大切にする基本姿勢と、フィールドワークから導き出される抽象度の高い洞察がたまらなく好きだ。

他方、なぜ、私は語学教育の世界が嫌いなのか?

世間の語学教育というものは、日本独自の英会話スクールという形態にせよ、欧米の英語学校にせよ、あまりに学校教育の影響を受け過ぎている。というか、そのものなのだ。非常に視野が狭いし、人間のことが考慮されていない。

“You are unable to apply in daily life what you are learning at school. That is the isolation of the school – it’s isolation from life.”
学校で習うことは日常生活の中では応用できない。学校は隔離されている。学校教育は、人の生活から分離しているのだ。

ジョン・デューイ博士がこのように仰ったように、学校で得られるものは本当に私たち人の生活から分離している。

ヒトは霊長類の特性として、序列に生きているし、競争しながら暮らす種だ。

ただ、同時にピョートル・クロポトキン(ロシアの思想家、地理学者、社会学者、生物学者: 1842 – 1921)が主張したように、社会性の極めて強い私たちヒトという種は、お互いが協力し合わなくては生存不可能という特質を持っている。

風の時代とも言われるが、今、私たちはポスト大量消費時代の「ひとりひとりが助け合う時代」を生きている。

以上を踏まえて、本当に私たちにとって現実社会で必要な英語とは何か?

それは、

周囲に貢献する英語
人に感謝される英語

であると断言できる。

私は、自分の生徒やクライアントには、そういう英語を身につけてもらいのだ。

「こんな日本人はじめて見たよ!」「こんなに素敵な人に会ったことがない!」と外国で褒められ、驚かれるような存在になってほしい。それが私の望みであり、人生をかけて奉職している世界なのだ。

語学教育の世界には、そういう思想がない。

現実問題として、語学教育のやり方でいくら英語の知識をつけても、流暢にはなれないし、たとえある程度流暢になれたとしても、周囲に対する配慮が欠けているというか、独りよがりで相手に不快感をもたらすような英語の喋り方になる。しかも、本人がそれに気づいていない。教師も指摘しない。

また、語学学校や英会話スクールで提供している言語学的な知識も、日本全国どこにでもある変わりばえのしないショッピングモールのような多数派の消費者に合わせた最大公約数的のようなもので、非常に中途半端。それが消費者に好まれるので、これからも変わらないだろう。

これをお読みのあなたへ

語学の世界に乗っ取られてはいけない。よーく考えてみて。現実を見よう。あなたはあなた。あなたは、あなたの人生を生きねばならないのではないか?

そのためにも、

周囲に貢献する英語を身につけよう!
人に感謝される英語を目指そう!

この二つが本当に大切なのだ。

この二点さえ忘れなければ、流暢な英語や大いなる自信は絶対に獲得できる。

そのために合理的な理論や理屈がある。

そこを学ぶのだ。


ショーンツジイ

文化人類学者
英語道場 升砲館 館長


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