英語を話しているときのあなたと、日本語を話しているときのあなたは、別の人格だ。
言語学的にはcode switching(コード切り替え)やSD(場面言語)といわれる現象であるが、家族や友達と話しているときと、職場で話しているときでは、例え同じ日本語だったとしても、言葉遣いも精神的にも大きく違う。
もし、あなたの近くに関西弁と標準語のバイリンガルがいたら、観察してみよう。使用言語によって、その人の人格は違って見えるだろう。
すなわち、英語を滑らかに話すには、English-minded(英語マインド)になっていることが必要だ。
そういうことから
「今から英語を話すので、マインドセットを切り替えよう」
と、心の中で観念して、日本語と英語の切り替えを行おうとする人は多い。
そのように指導する語学教師もいる。
ただ、多くの場合、それは失敗に終わる。
なぜだろう?
代表的な失敗例を二つ挙げる。
①普段の自分から、「『英語マインドに切り替えよう』と考えている自分」に切り替わっただけ。
②普段の自分から、「英語を話す日本人モード」の自分に切り替わるだけ。普段の日本人としての自分の延長でしかなく、英語マインドへの切り替えに成功しているとは言えない。
これは、たとえば東京の人が関西弁に挑戦するとき、関西人のマインドで行っているわけではなく、「関西弁を話そうとしている東京人のマインド」に着地してしまうケースと同じだ。
コーラを飲んだことのない人が、コーラの味を想像できないのと同じで、私たちは体験していないことを想像しようとしても、うまく想像できない。
いくら努力して「コーラの味を想像するんだ!」と言葉で念じても、知らないんだから想像できない。
「英語を話すときは、英語マインドに切り替えよう」という、表面的な指導の欠点がここにある。
では、英語マインドに切り替えられる方法は無いのか?
一瞬で切り替えることのできる方法は無いのか?
世の中では知られていない方法がひとつあるのだ。
「筋肉の使い方」を変えるだけ。
嘘のようだが、それだけで、あなたは大人からでも後天的バイリンガルのような、英語の達人になれるよ。
それは、神経筋系統の使い方と言っても良い。
・英語は耳で聞くのではなく、筋肉で聴く。
・アドリブでネイティブのように話せるための入り口は、筋肉の使い方を変えることにある。
筋トレは不要。というか、英語のために口や舌の筋肉を鍛えようとする人も世の中にいるが、余計に下手になるだけだ。
筋肉を鍛えるのではなく、筋肉の「使い方」の性質を変えることが大切である。
詳しく知りたい人には升砲館に来てもらうしかないが、この「筋肉の使い方」を例えるなら、伸筋(extensors)と屈筋(flexors)の使い方を変えるというモデル構造に近い。
トマス・ネーゲル博士の思考実験のように聞こえるかもしれないが、あなたが「英語ネイティブであるとはどういうことか?」という感覚が一人称視点でつかめたとき、そこには驚くべき世界と無限の可能性が開けている。
いちいち英作文をせずとも、英語が勝手に降りてきて、自分の口から流れるように英語が飛び出る。新しい語彙も表現も、苦労せずともスポンジのように吸収できるようになってくる。
どのようにしたら、そんな魔法のようなことが達成できるのか?
どれだけインターネットで調べてもその答えは出てこない。
升砲館に来て、自分の目と耳で確かめてくれ給え。
あなたはできる。