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【質問集】第1章《質問01》英会話はもうこりごりだ。

第1章 「英語が嫌いだ」「英語は要らない」と思っているあなたへ

《質問01》英会話はもうこりごりだ

【回答】
日本には学校教育機関だけでも、中学校、高校、大学を合わせて15,000校、英会話スクールは5,000教室以上、そして副業で教えている莫大な数の個人英語教師が存在し、実に驚くほど多くの機関や人間が英語教育に関わっています。

教授法に関しては、伝統的な文法訳読教授法、オーディオ・リンガル・メソッド、トータル・フィジカル・レスポンス、コミュニカディブ・ランゲージ・ティーチングなどの代表例に始まり、○○○式や×××式、ネイティブがテキスト中心に教える従来式、日本人に教わる方が上達が速いと主張する方式、とにかく実践あるのみのテキストブック不使用の会話形式、リスニングに特化、TOEICに特化、文法をやれば英語がマスターできると主張するメソッド、コーチング理論を使用、英字新聞購読メソッド、マンツーマンだから伸びる、暗記を勧める方式、暗記を否定する方式、など多種多様なメソッドはまさに百花繚乱の状態です。

それらの中には、古い歴史をもつメソッドから、近年生まれた新興メソッドもあります。歴史を誇るスクールは、化石のような古めかしいメソッドが伝統的で効き目があると説き、また各種の新興メソッドは、英語学習者を惑わすような、「TOEICの点数が少し上がる」「リスニングが少し良くなる」「外国人に少し慣れることができる」といったちょっとした効能や、安い授業料でたくさんレッスンが受けられるといったベネフィットを説いて、一人でも多くの人を引きつけようと懸命です。

「英会話はもうこりごりだ」という人は、これらの英会話業界に一度ならず足を踏み入れ、その都度、願いも叶わずむなしい思いを味わった人かもしれません。

スキルを上げるためにお金を払うというのは自分への投資だし、何かを真剣に習うということは、人の心と生活の全体に影響を持つものです。ゆえに、一歩まちがえて間違ったスクールやメソッドにのめり込んだら、どんなに立派な志を立てていても、その結果は無残なものとなることが多いのです。

しかも、誤った指導法や間違ったスクールに特有の「上達しない・させないループ」に一度落ち込んだら、なかなかはい上がることができません。

なによりも恐ろしいことは、悲惨なその状態に、本人自身が何も気付かず、自分のことを不幸だとも思っていないことです。

このように、あなたの理性をマヒさせるのが、誤った指導法や間違ったスクールのもっとも恐ろしいところなのです。

上達できない不安をあなたがうったえると、その先には「上達できないのは、レッスン数が少ないからです。チケットを購入してください。」というセールスが待っているでしょう。

仕方なくスクールを解約して、別のスクールで心機一転と思いきや、そこでもまた同じループが繰り返されるだけ。

今も非常に多くの人々が、その麻薬のような悪循環に翻弄され続けているのですが、何とかしてそこから抜け出た人が、二度と英語教育業界には足を踏み入れたくないと思うのは、当然でありましょう。

しかし、だからといって、正しいメソッドも誤ったメソッドも一緒くたにして、すべてを否定することは、あまりにも軽率に過ぎるのではないでしょうか。詭弁法ではそれは「早まった一般化(hasty generalization)」と呼ばれています。

想像してください。

一部の自衛官の不祥事をもってすべての自衛官が悪者だと決めつけ、大震災であなたの家族の救助に来てくれた自衛隊のレスキューを断ろうとするような愚行。

いかがでしょうか?

とにかく、できなかったことができるようになることや、知らない人と仲良くなれるコミュニケーション能力は、間違いなくあなたの人生を豊かにしてくれます。

どうか、過去の嫌な思い出は拭い去って、英語が好きだったあの頃の気持ち、自分の英語人生にドキドキして希望を持っていたころの気持ちを思い出してください。

正しくやれば、あなたは必ず英語が話せるようになります。


ショーンツジイ

文化人類学者
英語道場 升砲館 館長


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