数年前のことである。升砲館の門下生であった医師TTは、サンフランシスコで2000名ぐらいのプレゼンテーションを皮切りに、アメリカでいくつかの大きな学会発表を行った。
今日は、英語習得の究極目標である、「自己と言語の一体化」についてお伝えしよう。
ある学会発表の英語プレゼンにて
そのうちのひとつの学会で、TTが壇上で自分のプレゼンをしている最中、遅刻をしてきた参加者が巨大なホールの一番奥のドアから静かに入ってきたのが見えた。
自分の発表の最中なのに、TTはなぜかその遅刻してきた人物に心を奪われた。「あの人はどうして遅れてきたのだろうか?」「服のセンスが良いな」など、じっとその人物の観察を続けてしてしまったという。
その遅刻者(late comer)に心を奪われたTTは、その間、全く自分のプレゼンテーションには気を向けていなかった。
完全自動で英語が話せていた
そして、しばらくしたのち、TTは自分のプレゼンテーションが全く途切れることなく進行し続けていたことに気づいて、ハッとした。
驚きとともに、一瞬軽いパニックになりかけたが、そのままTTの心と身体は、TTからの意識的な介在なしで、途切れることなく最後の質疑応答まで英語を話し続け、無事にプレゼンを成功させることとなる。
あなたが英語を使っているのか?英語があなたを使っているのか?
さて、これは、TTが英語を使っているのか?
それとも、英語がTTの身体を使っているのか?
この二者だと、実際、後者の方が正しく感じられる。本当に英語が自分のものになってくると、このような状態がやってくることが増えてくる。
特にプレゼンなどのイベントでは、こういう経験をすることが増えるが、日常の会話の中でも、例えば、自動車を運転しながら、同乗者と英語で話し続けるなど、同じように感じられることがどんどん増える。
マジカルな英語の世界
正しくトレーニングを積めば、頭の中で日本語を英訳して話すのとは、全く違う領域に身を置くこととなる。
No pain, no gainと考えて、がむしゃらにやる人が多いが、それではダメだ。
身体性とマインドに着目して正しくトレーニングすることが大切。
語学教育の支配から解放され、大きな世界に身を置こう。