英国ケンブリッジ大学とインペリアルカレッジロンドン。共に世界最高水準の大学だ。そこで教鞭を取る、若き女性研究者がいる。物理気候学者Hiroe Yamazaki博士。アカデミック界でも知られた実力の持ち主だが、非常に聡明で礼儀正しい、すばらしい人物だ。
H. Yamazaki博士は私の教え子で、彼女は学生時代に私の指導で英語とプレゼンテーションに取り組んだ。
日本で学生をしていた2008-2009年当時、彼女は英語でプレゼンをしたことがなかったし、海外の学会でプレゼンを行うことすら最初は想定外だった。しかし、彼女は海外に出るためにすでに準備を開始しており、私の指導する普通のテキストなどには書かれていない隠された英語やプレゼンのテクニックの数々を、彼女はスポンジのようにどんどん吸収して行った。
「こんな日本人初めて見た!」と外国で驚かれるぐらいに、英語のうまい、強く気高い日本人を育成するというのが、私ショーンのポリシーであり、私は、私のポリシーに従って彼女を指導した。私は彼女の海外に出て勝負する夢を絶対に叶えて欲しかったし、そうなると信じていた。
稽古は簡単なものばかりではなかった。しかし、彼女の持ち前の芯の強さで、乗り越えられない壁を乗り越えて見せた瞬間を、私は今も覚えている。
そうして彼女が修士号候補者だったころ、生まれて初めての英語プレゼンをヨーロッパの学会で行う機会があったのだが、彼女は見事にそれを成功させた。
それから後は、もうサクセスストーリーとなる。彼女が研究者として非常に優れていたことに加え、日本人離れした堂々とした彼女のプレゼンテーション能力により、2回目の学会も、3回目の学会も、海外から誘われるようになり、彼女はすべてを成功させて行ったのだ。
そして英国に引っ越し、ケンブリッジ大学での教員を経て、今は英国の理系大学最高峰のインペリアルカレッジロンドンで教鞭を取っている。
その彼女が、今週私に手紙をくれた。結婚の報告や近況報告に加えて、日本語で日本の若い研究者に向けてのメッセージが添えられていた。
以下に日本語部分を全文紹介する。
英語を必要とする日本の若手研究者の皆さんへ
by Hiroe Yamazaki(イングランド・研究者)
私が若手だった頃、「拙い英語でも、発音が悪くても、研究内容が良ければ皆一生懸命に聞いてくれるから大丈夫だと教授から聞いた。そのことを心の支えにしている」と言っている日本人の友人がいました。
果たしてそうでしょうか。
学会で最新の研究結果が話されていた時代はそれでも良かったかもしれません。
今や研究業界もグローバル化が進み、あらゆる分野の最新の成果が瞬時に拡散される時代になりました。
誰もが世界と戦わざるを得ない今日において、皆が振り向いてくれるような研究結果を、無名の若手のうちに叩き出せる幸運はまず訪れません。
自分の研究結果を世界の誰もが分かるように、英語で分かりやすく、かつ聴きやすく発信する能力は、研究結果そのものと同じぐらい重要です。
若手の今、ショーンに出逢えた幸運を無駄にせず、英語を軽視する周りの日本人研究者の言うことに耳を傾けず、稽古に励んで下さい。
そして研究業界で飛躍するチャンスが巡ってきたとき、海外研究者と不自由なく議論できるだけの英語力を今手に入れてください。
今後のご健闘をお祈りしております。
Hiroe Yamazaki, PhD
Research Associate
Imperial College London
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素晴らしいメッセージをありがとう、Hiroe。
世界で闘える日本人が本当に少ない。これだけITが全世界的に進歩した時代、生身で勝負できることが一番大切になっているのに、ほとんどの日本人がその事実に気づいていない。
このままで日本は大丈夫なのだろうか?日本の子供達の未来はどうなるのか?
今、日本の大人が強くならなくてはならない。私は本当にそう思う。
以下はインペリアルカレッジロンドンのグループがYouTubeに出していた、最近の彼女のプレゼンテーションである。
ぜひ世界の最先端で活躍している彼女の勇姿を見てほしい。
かっこいいぞ、Hiroe!誇りに思ってるぞ。
そして、結婚もすべておめでとう!!!
海外で対等に闘えるようになりたい人は、升砲館に来てくれたまえ。
必ず夢は叶う。