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陽明学とマルクス史観による日本人の洗脳

写真は、先日京都でのパーティで義息子デニスと。

今日は日本人の洗脳について、文化人類学者+英語教育家として書くので少し長くなる。

これは第二次世界大戦後のGHQによる洗脳ではなく、もっと古い洗脳だ。

これについては社会科学でも触れられないテーマで、気づいている人がほとんどいない。

さて、私ショーンは「和の日本精神」を愛している。

聖徳太子の十七条の憲法の冒頭の「和を以って尊しとする」に、感動を覚えるのだ。

古来、日本人が大切にしてきたこの精神が、現代にも息づいていることが何より嬉しい。

しかし、十七条目で聖徳太子が述べられた「話し合いの重要性」については、あまりにも見過ごされているのではないか?と思うことが多い。

日本には討論の伝統がほとんど存在しない。

儒教的な年功序列が強く、「年上の意見が正しい」とされる日本社会では、そもそも討論の必要がなかった。

そこへ江戸時代からの陽明学が加わり、
「自分の心が正しい」
「心に従うのが正しい」
という思想が、無条件で絶対視されるようになった。

陽明学の致命的な欠点はここだ。

“自分の心が間違っている”という選択肢が存在しない。

そしてこの陽明学の“洗脳”は、現在ではさらに強化されている。

■現代の日本社会に残る陽明学的「心の絶対化」

●スポ根ドラマ
「気持ちでぶつかれ!」「正しいと思うなら貫け!」
→ 勝敗や合理性ではなく、“心の純粋さ”を至上とする。

●日常会話
「やる気があれば何でもできる」
「信じる心が大事」
→ 知識・制度・事実より、“気持ち”が万能薬であるかのように扱われる。

●教師や親の決まり文句
「お前のために言ってるんだぞ!」
→ 自分が“正しいと思った”から、相手にとっても正しいはずだという、陽明学独特の決めつけ。

また無礼をとがめられて、「思ったことを言って、何が悪い!」という侵略的な反論も、独りよがりな陽明学だ。

結果として、日本では
『自分の正義』が絶対化し、対話を拒否する文化
が形成された。

対話の無い、押し付けの「和の精神」は、見せかけの「和」でしかない。
それは聖徳太子の仰った「和」ではないのでは?

■江戸から明治以降はさらに悪化、日本式マルクス史観の輸入

もともと日本には“階級闘争”という思想は無かった。

あれほど強かった平家でも、打倒天皇は考えていなかったし、
百姓は一揆はしても、天下を獲るつもりなんてなかった。

しかし近代以降、
「搾取する側 vs 搾取される側」
という構図が輸入され、日本では異常に拡大された。

今では、
●何でもかんでもハラスメント
●全ての対立は被害者 vs 加害者
●感情を爆発させた側が正義

論理的に話す者が“悪者”にされるという倒錯が蔓延している。

これらはすべて、
ヘレニズム文明が育てた西洋の論理思考・フェアプレイ精神とは真逆の文化
である。

国際社会で通用しないのは当然だ。

臨床心理学者の土居健郎はこの日本独特の行動規範を「甘えの構造」と呼んだ。

夜行性の動物は、自分を夜行性だとは思わない。

それと同じように、
日本人は自分たちの思考が陽明学とマルクス史観に強く支配されていることに気づいていない。

親も教師も社会全体も、ドラマ・漫画・アニメを通してそれを強化してきたからだ。

そういう理由で私は、日本アニメが世界で流行していることを嬉しく思う反面、心配している。

●「自分の心は無条件で正しい」
●「ルールより感情」
●「衝動=美徳」

こうした日本式アニメの“心の絶対化”が世界で称賛されているが、
それが、
世界全体の論理や秩序を壊す危険性があるからだ。

■陽明学が、日本人の英語コミュニケーション能力を奪っている

陽明学的発想の最大の副作用はこれだ。
「自分の心に従っていれば、相手は理解してくれる」
心のどこかで、そう考えたことのある人も多いと思う。

これは陽明学が作り出した幻想だ。

もちろん「心」は大切だが、実際は、
●聴覚
●発声
●文化理解
●論理的思考

など、英語は“心の純度”ではどうにもならない領域が非常に多い。

英語には英語のルールがあり、文化には文化のルールがある。
従うべきはルールや作法であり、自分の心ではない。

断言しても良いが、日本人が英語で苦しむ最大の理由は、
400年続いた“自分の心は絶対に正しい”という陽明学の呪縛にある。

そして、
“すべての対立は被害者と加害者に分かれる”という日本式マルクス史観が、
対話の文化を根絶し、論理的コミュニケーション力を破壊している。

「言いたいことが英語で言えるようになりたい」
そういうモチベーションで学ぶ日本人は多い。
だが、彼らの英語コミュニケーションは、非常にもろい。
一方通行で終わり、相手に理解されない。

自らの文化の特徴、相手の文化の特徴、どちらも理解していると、
お互いを尊重し合うコミュニケーションができる。

日本の文化は素晴らしい。

だが、国際社会で生き残るためには、
和の日本精神 × ヘレニズム文明の論理(ルール・掟)
この両輪が不可欠だ。

自分の心は絶対ではない。
客観的視点を大切に。


升砲館金剛會 ショーンツジイ

プロイングリッシュスピーカー育成ディレクター



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