SHAWN TSUJII'S

過去生徒さんの思い出「英語の終活」

写真はかつてツジイイングリッシュ河原町三条校としてお世話になっていた明治屋京都ビルだ。

2001年から、寺町商店街に移転する2013年まで、私のオフィスは明治屋の7階にテナントとして入っていた。

明治屋京都ビルの隣は、新撰組の襲撃事件のあった池田屋。

スクールの窓からは、清水寺や法然院など東山が一望できて、大変良い眺望だった。

笑ったりがんばったり、本当に色々な思い出があるのだが、今日は過去生徒Oさんについて書く。

43歳から英語を始めたOさん。学生時代からずっと英語から逃げてきた彼が、一念発起して私のスクールに来られた。

もくじ

「英語ができないまま死にたくない」

Oさんは元気だったし、当時は終活なんていうことばすら無かったが、彼はそういう考えで英語を始める決心をしたのだ。

英語が必要な仕事に就いているわけではない。しかし、Oさんはとにかく心から英語を話したかった。

Oさんは自分の思いを英語日記で綴り、朝も夜も関係なく夢中で英語に取り組んだ。

“最初は間違いだらけの英語だったが、数ヶ月経つとどんどん自然な英語になっていった。

呼吸や身体の使い方を学び、魔法にかかったようにOさんは発音もうまくなっていった。

英語を始めてから1年経ったころ、Oさんは短いスピーチの原稿を書いてみたという。

洋楽や洋画が好きで英語を始め、英語の勉強を楽しんでやってこれたことへの感謝のスピーチだった。

その日のレッスン時間も終わっていたが、いっぺんリハーサルの代わりに彼に一度スピーチの原稿を読んでもらおうということになった。

彼は軽くうなずき、立ち上がった。

躊躇なく、Oさんは話し始める。原稿は机の上に置いたまま。

スピーチが始まるやいなや、全員が引き込まれた。

その場にいた生徒さんたちだけでなく、Oさんの声を聞いた隣のクラスルームから他の外国人講師や生徒たちが移動してきた。

水を打ったかの如く、場が静まる。

美しかった。

大袈裟かもしれないが、並行世界にいるような異空間。

嗚呼、悠久たる大絶美。

私は泣いた。

見せかけの英語ではない、内面から滲み出てくる英語。

自然体は美しい。衝突がないのだ。

本質的な感動があるよ。

Oさん、ありがとう。

私は自分の仕事を愛している。生徒の皆さんに感動と喜びを恵んでもらっている。

最高に幸せな仕事だし、私は、この仕事を手放す気はない。

皆で、ハッピーになろう!

さぁ、今週末は東京升砲館で集中稽古。

今から楽しみだ。

ありがとう。

今日も笑顔で良い1日を!


ショーンツジイ

文化人類学者
英語道場 升砲館 館長


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