写真は、私が「湘南のおしゃれ番長」と呼んでいる福田晴彦氏。去年の升砲舘のスピーチコンテストの観戦に来てくれたときに撮ったもの。ファッショナルブルでカッコいいだけでなく、多くの人から信頼を集める番長だ。
さて、この稿は、英語を話すときに頭が真っ白になってしまう人や、聞き取れなくて悩んでいる人に向けて書く。
語彙や文法を一生懸命覚えたのに、結局話せない。
TOEICで満点を取ったのに、全く会話ができない。
そんな人が、世の中には本当に多い。
私は断言する。
英語は「頭」で扱う限り、決して自由にはならない。
英語は「腹」で扱うものだ。
①「脳で話す英語」の限界
近代以降の西洋思想では、「思考=脳、感情=心、身体=器械」と分けて考える傾向がある。
それがそのまま語学教育にも反映されている。
英語教育は、概ね以下の3つの領域に集約される。
・語彙や文法などの知識を増やして、脳(頭)を鍛える
・緊張しないように、メンタルを鍛える
・口の筋肉を鍛えたり、発音や発声を訓練する
一見もっともらしく聞こえるが、実際にはうまくいかない。
いくら頭を鍛えても、聞けるようにも話せるようにもならない。
メンタルを鍛えたところで、ただ厚かましい性格になるだけ。
口を鍛えたところで、英語らしい発音にはならず、かえって不自然に力んでしまう。
腹式呼吸を教える講師も多いが、本質を捉えていない。
これらすべてに共通しているのは、「頭に偏っている」ということだ。
大切なのは、頭を離れ、「腹」に降りることである。
②「第二の脳」腸に宿る直感と判断力
近年の神経科学では、腸は単なる消化器官ではなく「第二の脳」として再定義されている。
腸は独自の神経系(腸管神経系)を持ち、脳と関係なく「独立して」判断し反応する。
「思考」を司るのが脳であるなら、「直感」「選択」「回避」を担っているのが腸である。
腸は、進化的に非常に古い神経システムであり、「生きるか死ぬか」の判断(=闘争・逃走反応)にも関与する。
腸と脳は迷走神経によって結ばれ、脳から腸ではなく、腸から脳への信号のほうが圧倒的に多い。
すなわち、「腸が脳を動かしている」とすら言えるのだ。
③「そんなの聞いたことがない」と思ったあなたへ
「英語のために腸や腹なんて聞いたことがない」
「そんなの本当に意味があるのか?」
そう思った人もいるかもしれない。
だがそれは、あなた自身がまだその世界を体験していないから、意味がないように感じているだけのことだ。
「愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ」
オットー・フォン・ビスマルク(初代ドイツ帝国宰相: 1815 – 1898)
先人たちから学ぼう、人類の叡智から学ぼう。
人類は、歴史的にも人類学的にも、言語や判断を「腹」で行ってきた。
④文化人類学による「腹の知」
日本の武道や禅では、「腹を据える」ことで道とつながる。
アジアの伝統医学や気功・ヨーガでは、丹田=生命エネルギーの中枢。
南太平洋のサモア・トンガ・マオリでは、「manava(腹)」が魂・感情・意志の場所とされる。
アフリカのイボ族・ヨルバ族・アカ族では、「腹」は誠実さ・判断力・共同体とのつながりを意味する。「腹」は個人的な判断・道徳・直感の場所であると同時に、個人を超えた宇宙秩序や社会との接点だとされる。
古代ギリシャでは、スプランクナと呼ばれ、腸や臓物は 「深い感情」の象徴であった。ギリシャ語を話していたイエス・キリストも人々を憐れむ場面でよく用いた表現だとされる。
⑤腹式呼吸は「思想」である
多くの英語学習者が「腹式呼吸」を試みるが、技術としての腹式呼吸は、英語コミュニケーション能力にほとんど寄与しない。
呼吸を変えれば、発声が変わる。
発声が変われば、思考が変わる。
思考が変われば、言葉が変わる。
だが、そのためには、単なる呼吸トレーニングではなく、呼吸の思想が必要なのだ。
升砲舘での腹式呼吸は、一般的なトレーニングとはまったく異なる。
それは、「声の哲学」であり、「言霊の技法」であり、「精神と身体の一致」である。
⑥英語を、頭から腹に下ろそう
語彙や文法の蓄積ではなく、
メンタルの強化でもなく、
口の形や舌の位置でもない。
英語は、腹で感じ、腹で放つものである。
あなたが英語を話せないのは、才能や努力の不足ではない。
ただ単に、「回路が違っている」だけなのだ。
頭から離れ、腹に降りよう。
英語を、もっと根源的に、自分の命に近い場所で扱おう。
あなた本来の英語とは、ことば以前の「気」の流れであり、響きであり、生きた自分の延長だ。
語学を習うのではない。
英語という形を借りて、真の自分を発語する力を取り戻すのだ。
あなたの腹で語ろう。
ことばは、そこから始まるよ。

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