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英語のノウハウ時代の終焉「どう在りたいのか?」が大切

写真は、以前私のスクールがテナントで入っていた京都市寺町御池のオフィス前の小看板。2013年から2021年までお世話になったギャラリーカトビル、織田信長で有名な本能寺の向かい側だ。

英語道場升砲館を2015年に創設し、当時受講者が増えに増えていた時代で、三階の他に二階と七階も借りていた。

門下生たちの家族の皆さまも参加して、本格的な夏祭りを皆で開催したり、ここにはコロナ前ならではの楽しい思い出がたくさんある。友人の西澤ロイ氏やバディ氏が、二階ホールからライブ配信した日もあったなぁ。

ここで8年間教室をやらせてもらえたことを、私は今も感謝している。

さて、もう故人だが、かつてバンクーバーに日系カナダ人のアンディ・ムカイ氏という人物がいた。

大きな影響力を持つ人で、彼の口癖の “No ginger(しょうがない)” は、当時のバンクーバー界隈でちょっとした流行語になっていた。

私が20歳の頃、しばらく彼の家に住まわせてもらったことがある。

ある日、アンディは私にこう言った。

「おいツジイ。英語と日本語ができるからって偉そうにすんなよ。言葉なんて誰でもできる。大事なのは“お前が何をするか”の方だ。」

この忠告は、30年以上経った今も、私の胸の深いところに存在している。

私は16歳(1988年)で英語教育業に奉職し、英語業界をずっと見てきた。

偶然だが、NOVA創業者の猿橋氏は、私と同じ京都の空手道場「玄武館」で一緒に汗を流した仲間だった。

玄武館の館長である髙橋氏は、1980年代に全国展開した大手英会話スクール「バイリンガル」の創業者。

後にNOVAが導入して大ヒットさせたマンツーマンレッスンは、もともとは髙橋館長の発明だった。

ここには書けない裏話は山ほどある。

だが私は、英会話産業の黎明期をつくった巨頭たちから、生で話を聞くことができた。

これは、業界の人間として大きな財産だと思う。

英語産業の時代の流れをざっくり振り返ると、

■ 1980年代
英会話産業の幕開け。
東大や京大など国立大のエリートたちがスクールに通い、
「受験英語は会話には役に立たない」
と衝撃を受けた時代。

■ 1990年代
英会話スクールの黄金期。
雑誌「ケイコとマナブ」が全国で売れに売れ、
「ネイティブに習うこと=最高の学習法」
という空気が日本を覆っていた。

■ 2000年代
TOEICブームの到来。
英会話スクールに通っても喋れるようにならない人が続出し、
業界は「点数が上がればOK」というビジネスにシフト。
TOEICは、英語産業を延命させた“救命ボート”だった。

■ 2010年代
ノウハウ書の大洪水。
「英語は喉発声」「文法さえやれば話せる」など
珍説のようなメソッドが乱立。
学習者はノウハウコレクターとなり、業界は一時的に活気づく。
2010年代後半からは、英語個人コーチングの大流行。
誰にでも当てはまる学習内容を「あなただけ」と言って提供するビジネスモデル。

■ 2020年代
YouTubeの素人教師が爆発的に増え、
「英語で起業して稼ごう」ビジネスマーケティングが氾濫。
業界は完全に飽和し、差別化はほぼ不可能に。
AIツールが登場し、学習者は自分で創意工夫して学べる時代となった。

私は正直言って、「ノウハウ」という幻想の時代はもう終わりに近づいていると思う。

ついに、アンディが言った時代がやってきた。

これからは「英語を使って何をするのか?」が問われる。

どこを目指し、どのように在るのか?その“在り方”こそが価値になる。

英語はツールであり、手段だ。

「こんな人間で在りたい」という目的のないまま英語を磨いても、仕方がない。

私にとって英語は、教えるものではなく「叶えるもの」だ。

英語を教えること自体は簡単だ。極端に言えば、寝ながらでも教えられるぐらい簡単なことだ。

だが、私の本当の仕事はそこではない。

目の前の門下生やクライアントが望む人生を“叶える”こと。

それが私の役割であり、使命だ。

英語そのものよりも、英語を通して“何を為すか”
その一点が、これからの時代を決める。

アンディの忠告が、時代を超えて蘇っている。

アンディ、あのときの忠告、ツジイ覚えています。

ありがとうございます。

みんながんばれよ。

英傑のあなたへ


ショーンツジイ

プロイングリッシュスピーカー育成ディレクター



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