こんにちは、ショーンだ。今週末は、升砲館比叡山道場で行われていた初心者向けZクラスに、N(奈良市・高校生・女子)が熱中症のため欠席した。大学生のお姉さんの引っ越しの手伝いをしているときに倒れたと、お父さまから連絡をいただいた。エアコンの外した部屋で一生懸命に荷造りをがんばっていたそうだ。
N、かわいそうに。でも、よくがんばったね。早く回復しますように!
私も経験があるが、熱中症は本当に辛い。20歳のときアメリカの炎天下の野外で航空ショーに見入っていて、私はぶっ倒れた。回復するのに3週間ぐらいかかった。熱中症は、本当に辛いので、読者の皆さんも、どうか気をつけて!本当に。
さて、文化人類学の根幹部分を応用するところがスタート地点となる、世界でも稀なる升砲館メソッド。本来は大変アカデミックな理論なのだが、極悪メソッドというニックネームを何年も用いている。
極悪と言っても、別に犯罪を推奨しているわけではない。ちゃんと正当な理由があるのだ。
日本史の好きな人には「極悪メソッド!?おぉ、良い名前ですね!」と評価してもらえることもあるのだが、はっきり言ってレアケース。
なぜ極悪なのか?
多くの人に聞かれるので、お答えしよう。
私は世界をひとつの大きな物語として見るのが好きで、それが発端でもある。
古今東西、あらゆる物語にvillain(悪役)が存在する
古今東西、あらゆる物語にvillain(悪役)が存在する。
そして、私は屈折していたのかもしれないが、幼少時代から正義の味方のことは好きではあるものの、どちらかと言えば、悪役の方に興味があった。
機動戦士ガンダムで言えば、連邦軍よりもジオン軍。
映画スターウォーズで言えば、共和国よりも帝国軍。
北斗の拳で言えば、ケンシロウよりもラオウ。
なぜか、上記の作品に出てくる悪役は、因習に縛られている優柔不断な正義の味方グループよりも意思決定が早く、リーダーシップに優れ、しかもカッコよく描かれている。さらには、正義の味方がくじけそうになっても、悪役は常に初志貫徹するという特徴がある。
不思議だ。「悪」には、なぜこのような魅力があるのだろう?
あなたは、どう?
あなたも、悪役に魅力を感じる部類の人間だろうか?
とにかく、そもそも「悪」とは何なのだろうか?
それが子供時代の私の疑問だった。
「悪」という漢字の本来の意味とは?
まず「悪」ということばの意味を見てみよう。
現代の日本では「悪」という漢字はネガティブな意味を帯びているが、もともと中国語での「悪」の原意は、現代のものとはかなり異なっている。
古来、中国語で「悪」というのは「体制に従わない者」という意味で、「善」は「体制に服従する者」ということだった。15世紀に中国で書かれた『水滸伝』は、国を救うために集まった豪傑たちの物語であるが、体制側にとって都合の悪い彼らは「悪人」だった。
中世のイングランドで、王の暴政に反抗したロビン・フッドも英雄的なアウトロー。
鎌倉時代の日本でも、多くの「悪党」が活躍した。
天才武将、あの楠木正成(くすのきまさしげ)も、国難を救おうとした歴史的「悪党」として正式に知られている。
石川五右衛門、団七九郎兵衛や明智光秀などの悪役は、江戸時代から浮世絵や歌舞伎、講談、人形浄瑠璃などで欠かせない、定番の悪のヒーローだった。
では、英語教育業界での「善」と「悪」とは?
英語教育業界の光と影
この100年間、世界の英語教育は、ほぼ独占的にヨーロッパの某国によって計画的に牛耳られてきた。信じられないかもしれないが、どれだけやっても上手くならないように綿密にデザインされた方式が、某国の政策に従って、世界に輸出され続けている。この1世紀、学校教育も民間の英会話スクールも、あらゆる英語教育機関が、その影響下にある。
よく日本の英会話スクールの広告で「全く新しい学習法」などと書かれてあるが、あれはマーケティングのための方便で、とっくに使い古された学習法の名前を少し変えたものに過ぎない。
そういう世界の英語教育の「善」の巨大な流派が、メインストリームを形成している。
他方、これに命懸けで警鐘を鳴らしたのが、ハンガリーのRP教授である。この人は私など足元にも及ばない、英語業界の真の悪党だと私は思う。例えるなら、英語教育業界の楠木正成であろう。
ただ、英語教育業界の中で、現状の英語教育を憂うRP教授や升砲館のような良識ある「悪党」は非常に少数派である。
英語教育の表と裏
昨今、世界政府もますます力を強めて行っていることから、この世界的規模の英語の施策が崩されることは永遠にないだろう。特定の層にのみ都合が良い、新たな秩序が世界に構築されつつある。
となると、流通している英語教育には、今まで以上に誰も疑問を持たなくなるのが普通になってくると思う。
しかし、一部では、本当の英語教育はなされている。ただ、それは世界の中でも、ごく限られたエリート層で継承されているだけで、一般の目には入らない。
そのような状況の中、せめて自分のクライアントや生徒さんには、本当に英語がうまくなり、外国で胸を張って英語を使えるような指導をしようと私は考えた。私が、発音と文化とマインドの3つを英語学習の必要要件としているのは、そのためである。
その考えに従い、私は私の持つアカデミックな知識を総動員させ、独自のカリキュラムを組織した。
私は自分の持っている情熱を英語教育に傾けて、走り続けてきた。
私の組織したカリキュラムは、この1世紀続いている英語教育思想に大きな疑問を投げかける存在であり、故に、極悪メソッドというニックネームは実に適切なものだと思う。
ただ、悪には悪の悩みがある。
悪のジレンマ
「悪」を名乗ることにも意義はあるが、「悪」が長続きしないのも、世の常である。
楠木正成は、鎌倉幕府の足利尊氏に殺されたし、ロビンフッドも、石川五右衛門も、最後は殺された。
前述のように「悪」とは体制に疑問を持つことであり、歴史を見ても、古来、常に若者は体制に反抗するものである。
「悪」や「反抗」は長続きしないのだ。パンクロックの重鎮として知られた英国のバンド、The Clashのボーカル、ジョー・ストラマーも後年になって「若い頃はあれだけ体制に反抗して音楽活動をしていたが、あんなことをしても無意味だった」と述懐した。
他方、米国のパンクロックバンドRAMONESは、デビューから解散するまで22年間、一度も髪型や服装、曲調、歌詞の内容を変えなかったし、米国のロックバンドKISSや、聖飢魔IIのデーモン小暮氏が、今でもあのメイクを貫いているのを、私は尊敬している。
不良を続けるのは、大変骨の折れることでもある。
英国を代表する不良たちのロックグループ、The Rolling Stones。自分が被告で裁判にかけられているのに、当日裁判所に泥酔状態で現れたり、すっぽかしたり、途方も無い不良だったThe Rolling Stones。麻薬中毒、アルコール中毒、夜を共にした女性の数は4000人以上と言われる、ボーカルのミックジャガー。あれだけ不健康さが売り物だったミックジャガーはもう80歳となるが、まだ精力的に音楽活動を続けている。今となっては、世界でもっとも健康体で、自己管理のできた後期高齢者、それが世界を代表する不良の大御所ミックジャガーだ。健康でないと不良は続けられない、ということをミックジャガーは身でもって証明した。
健康的で自己管理ができていないと、不良はやってられない。
そのように「悪」にはジレンマが付きまとう。
私も、もう50歳を超えた。私個人の将来の夢としては、ミックジャガーのように健康的で明るい不良の後期高齢者を目指したいと思っている。やっぱり憧れの人なのだ。
ただ、升砲館に関しては、本来はアカデミックな王道の語学教育を提供しているのに、極悪メソッドというニックネームを用いているところに少しジレンマがある。
このニックネームを升砲館がいつまで続けるのかはわからないが、このセンスを理解なさってくれる人に、クスッと笑ってもらえれば私は嬉しい。
どうか皆さまには、升砲館の今後をお見守りいただけたら幸いである。
ご精読ありがとう!
これからも、英語がんばって行こうな!