近年「英語を学ぶのに発音学習は不要」とする説が流行しています。もっともらしくその説を唱える日本人英語教師も現れており、私、辻井升雲(ショーンツジイ)は実に興味深くこの議論を観察しています。
発音学習をめぐる彼らの主張は果たしてどこまで正しいのでしょうか?
1930年代、文化人類学者サピアの弟子ベンジャミン・ウォーフが「発音」というものに着目してくれたことは、私たちヒトの認知の研究の進歩に非常に大きく貢献しました。現代言語学の音韻論もベンジャミン・ウォーフの異音論なしには成り立ちませんでした。言語心理学のチョムスキー理論も、やはりベンジャミン・ウォーフという偉大な先人があってのことです。
私ショーンは英語教師として、ベンジャミン・ウォーフの業績を尊敬する文化人類学者として「外国語学習には発音学習は不可欠」という考えを支持する立場です。ことばの点でも、文化の点でも、実生活の日常レベルでも、学ぶ言語の発音を学ぶことは非常に大切です。
ところが、近ごろ「英語学習に発音は不要だ!」という主張が流行しています。
ほとんどの人はご存知ではありませんが、この近代の「発音学習不要論」の大流行には、20世紀初頭より100年以上続いている某国の政治的な理由と、引き続いて起こった産業的な理由が巧妙に絡んでいます。
ここでは書ききれないので、そのことについてはまた別の場面で論じますが、私ショーンは「英語学習に発音は不要だ」という説を鵜呑みにしている人と話が噛み合わないことが多いです。
彼らと私の会話の典型的な例を3つ紹介します。
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例1
発音不要論者A氏「升砲館は、英語学習にネイティブの発音が大切だと主張していますよね。でも、世界は多様で、様々な種類の英語があるのです。ジャマイカ人はジャマイカ訛りの英語を話すし、インド人も中国人もそれぞれの訛りがあります。だから日本人は日本語訛りの英語で良いのです。ネイティブの発音を学ぶという考え方は、もはや破綻しているんですよ!」
ショーン「外国語を学ぶときに、そこの母語者(ネイティブ)の発音を学ぶのは普通のことではありませんか?その土地の人のように話せることは素晴らしいことだと思いますよ。」
発音不要論者A氏「この世界には色々な訛りがあるのです!だから有り難がってネイティブの発音は学ぶ必要がないし、ネイティブの発音を良いとするのは、多様性を否定していることになるんですよ。」
ショーン「ネイティブの発音も多様性のひとつではないのですか?ネイティブの発音を学びたいと願っている人は、世界中にいますよ。どうして、あなたはそれを多様性から除外するのですか?」
発音不要論者A氏「・・・」
例2)
発音不要論者B氏「地球規模では、近年はネイティブよりもノンネイティブの英語話者の人口のほうがまさっているんですよ。だから、もはやノンネイティブの英語発音の方が主流なのです!」
ショーン「数がまさった方が主流なのですか?」
発音不要論者B氏「そうです。」
ショーン「ということは、中国人(14.1億人)やインド人(14億人)の話す英語が主流という定義ですか?日本人は中国の人口の10分の1以下なので、どう考えても日本人英語は主流にはなり得ないのでは?また実際の発音の点でも、日本人英語と中国人英語は全然違うのに、どうしてここでは日本人英語が主流としてカウントされるのですか?そして、もし、そのように数量的に見るのであれば、あなたの否定していたアメリカ英語使用者は余裕で日本の人口の倍以上ですよ。」
発音不要論者B氏「・・・」
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これは私ショーンの意見ですが、ことばはパーソナルなものです。
外国語を美しく話せるようになりたくて発音を学ぶのは、「字が綺麗にかけるようになりたくて書道教室に通う」のと同じようなものです。
それを「日本人の圧倒的多数が書道なんてやっていませんよ!字の汚い方が統計的に主流です!」と言って反対したところで、書道教室に通いたい人は書道教室に通いたいから通っているのです。
伝統的な日本料理を作れるようになりたくて料理学校に通おうとしている人に、「冷凍食品とファストフードと洋食と中国料理と韓国料理とインド料理を合わせたら、そっちの方が和食より多いので、もはやそっちが主流の日本料理だ!だから和食は学ばなくても良い!」という主張をして、料理学校への入学を断念させるという乱暴な行いにも似ています。
何を選ぶのか?は、個人の自由です。
こだわりのある人や意識の高い人もいれば、そうでない人もいます。
うまくなる書道教室もあれば、うまくならない書道教室もあるでしょう。
自然体による美しい英語発音と、本格的な英語コミュニケーション能力養成を自分の身で体験したい人は、升砲館へ。
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