SHAWN TSUJII'S

英語が聞き取れるようになるために

写真は、昨晩いただいたシャトー・オー・ブリオン。

ワインの世界に明るくない私ショーンを啓蒙するため、友人の花田泰介氏が、自身のコレクションの中から五大シャトーの貴重な一本を開けるとき、必ず私を誘ってくれる。

五大シャトーというだけで貴重なのだが、彼が所有するボトルは、いずれも並の状態ではない。

抜栓されたワインは、極上の熟成を経て、まるで語りかけるように香り立つ。彼独自のルートで手に入れた極めてレアなものばかりだ。

花ちゃん、いつも本当にありがとう。

さて、本題に入ろう。英語の話だ。

あるとき、グローターズ神父に「バイリンガルになるにはどうすれば良いですか?」と尋ねた者がいた。神父はこう答えた。

「それは、親を選ぶことです」

つまり、母語の異なる両親を持って生まれれば、あなたは自然とバイリンガルになれる、ということ。

人間の聴覚は、幼少期にそのほとんどが決まってしまう。

大人になってから外国語を自在に聞き取れるようになるのは、非常に困難なのだ。

知らない音は、耳に届いていても、脳がそれを「情報」として扱わない。ただ、素通りするだけだ。

なぜか?

昆虫には赤外線が見えるのに、人間にはまったく見えない。

このように、脳には“選択的フィルター”のようなものが備わっており、私たちは「認識できるもの」しか認識できない。

これは心理学の父・ウィリアム・ジェイムズが説いた理論でもある。

人間はえてして、「自分が知っているもの=この世界のすべて」と錯覚しがちだ。

あのアリストテレス(BC384 – BC322)ですら、「宇宙における発見はほぼすべて完了し、未解決の問題など残っていない」と考えていたほどだ。

しかし、現実には、

「知らないものは、見えない。聞こえない。理解できない。」

だからこそ重要なのは、「知らないことを知る」こと。

ソクラテスではないが、「無知の知」こそが、学びの扉を開く。

つまり、「知らない音・知らない波動・知らない世界」に“気づく”ことが、英語を聞き取れるようになるための鍵なのだ。

科学哲学者アーサー・ケストラーは、かつてこう述べた。

「それは、見えないインクで書かれた書物を読むような作業である」

この“見えないインク”を読むには、まず目を凝らすだけでは不十分。

“心の目”を開き、世界をあるがままに受け止める感性が求められる。

哲学の道沿いに京都の祖父の家があった私にとって、これは非常に身近な感覚だ。

そう、西田幾多郎の「純粋経験」

それこそが、“音を聞く”ために必要な、究極の姿勢である。

先入観を捨て去れない者に、外国語の音は、永遠に届かない。

語彙を増やすことは確かに大切だ。

だが、それより先に耳を解き放つこと。

それこそが、君が英語を本質的にマスターするための、最も確実な近道だよ。


ショーンツジイ

プロイングリッシュスピーカー育成ディレクター



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