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文化人類学と刺青

文化人類学者の扱う内容は、非常に幅広い。私は師のジョイヘンドリー(オックスフォードブルックス大学名誉教授)と同じ、レヴィ=ストロースの構造人類学の流派に属しており、私ショーンはその観点から刺青を研究対象のひとつとして持つ文化人類学者である。

ニュージーランドのマオリ族は全身の入れ墨で極めて有名だが、入れ墨は世界の多くの民族で太古の昔から行われている通過儀礼の風習である。

https://www.pinterest.es/pin/427982770820139648/
マオリ族の伝統的刺青を入れた男性

日本に於いては、刺青は縄文時代から存在し、江戸時代の粋な町人文化で花開き、流行した。過去には罪人に罰として入れるために入れ墨が利用された時代もある。

近代では、英国では国王自らが日本の刺青を入れるなど、日本の和彫りは世界的に非常に評価が高い。私の師、英国王立人類学会のエース、ジョイヘンドリー教授も、日本一と言われた名彫師、横浜の三代目彫よし氏と親交があった。

さて、私は先日、京都針三昧で五打氏(ごうち: Gotch)に左足の雷の赤色を入れて貰った。彫師の五打氏は私の14歳のときからの長い友達で、海外のコンベンションで優勝するなど世界的に知られるアーティストだ。

全身の刺青作品は総身彫りというのだが、刺青を入れるのは大変な作業なので、サクラダファミリアの如くの長いプロジェクトとなる。

私は中学生のときに刺青の神秘性に魅了され、18歳のとき初めて小さな作品を彫り、25歳で五分袖を完成させたが、そこから何も彫らずに20年間の休憩を挟み、40代半ばにして刺青のフィールドワークに復帰した。

以後、私は総身彫りに向けて彫り活を継続中だ。

よく「痛くないの?」と聞かれるが、刺青は激痛が走るのが良い。

脇腹や鎖骨近くは、死ぬほど痛い。肛門近くの痛さも格別😆

しかし、これぞ通過儀礼(rite of passage)なのだ。

痛くなければ通過儀礼じゃない。

ごうち、いつもありがとう。

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アマゾン川中流域のサテール・マウェ族の
戦士の通過儀礼。
数十匹の火蟻が詰まった手袋を着用し、
痛みに耐えなければならない。


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