写真は去年の今頃だが、書家の石川九楊展のために上野の森美術館に行ったときのもの。恐るべき異能とほとぼしる知性、こんな人間が存在するなんて!と思うぐらい、私は石川九楊先生を敬愛している。
さて、本日は、升砲舘の入学前面談に、Kさん(京都市・30代女性)をお迎えした。
知的な穏やかさと、凛とした礼儀をたたえたKさんは、現役の医師であり、研究者でもある。
彼女が語る英語の悩み、そしてその先に見据えるビジョンは明快で、私は終始、心が洗われるような思いで耳を傾けた。
Kさんをご紹介くださったのは、谷口智彦医師。
升砲舘の門下生として稽古に励み、自らの研究で世界の医学界を席巻した実力者である。
これまでにも、多くの研究者が升砲舘の門を叩いてきた。
たとえば、日本人でありながらケンブリッジ大学で教鞭を執り、現在はロンドン・インペリアルカレッジで最先端の気象研究を行っている、Dr. Hiroe Yamazakiもその一人だ。
彼らのような“志ある研究者”が、なぜ升砲舘を選ぶのか。
そこには明確な理由がある。
いま、学術研究の世界は、大きく変わろうとしている。
学術誌に論文を出せば、数日で世界中に知れ渡り、数週間もすれば「似た内容で、もっと洗練された研究」が別の国から発表されてしまう。
つまり、“研究内容そのもの”ではもはや差がつかない時代に突入しているのだ。
だからこそ、口頭によるプレゼンテーション、すなわち「声と言葉による伝達力」が研究者の命運を決める。
だが、日本のアカデミアはこの流れに、いまだ乗り切れていない。
「中身で勝負」という幻想にすがり、プレゼンテーションの技術を軽視する傾向が根強い。
だが、現実はこうだ。
研究の“中身”が良いことなど、もはや前提条件に過ぎない。
真の評価は、「どう語ったか」によって決まる。
残念ながら、多くの日本人研究者はこの壁に直面している。
質疑応答で撃沈し、パーティでは輪に入れず、無言でホテルへ帰る。
そして、こう思ってしまう。
「教授ですらあれなのだから、自分はこの程度で充分だろう」と。
こうして、優れた原石たちが、“劣化コピー”で人生を終えてしまう。
これは日本の知的損失であり、若者たちの希望を閉ざす連鎖である。
だが、Kさんの志は明らかに違っていた。
彼女は言った。
「私は将来、海外に拠点を移し、研究を続けたい。そして、自分の研究にふさわしい英語で、自信を持って世界と向き合いたい」と。
その真摯な言葉に、私は強く心を打たれた。
ところで、USMLEという試験をご存知だろうか?
アメリカ医師国家試験。世界でも屈指の難関である。
自慢ではないが、私はこれまでに50名以上のUSMLE合格者を育ててきた。
合格率、100%。それが私の誇りである。
Kさんが将来、アメリカで医師としても活躍したいと願うなら、升砲舘の稽古と思考法は必ずや力となるだろう。
ことばとは、単なる情報の伝達手段ではない。
ことばとは、知性と志を具現化する“意志の器”である。
Kさんのこれからが、ますます楽しみだ。
応援しているよ。

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