写真は少し前だが、銀座の竹葉亭にて。世界で知られる航空会社のT会長と。義息子デニスと共に、うなぎ料理をご一緒させていただいた日だった。
さて、大航海時代とは、単に海を越えた交易の時代ではなかった。
それは「宗派ごとの世界進出の時代」であった。
たとえば、スペインの新興勢力であったイエズス会は、
カトリック布教の旗印のもと、アジアから南米まで、広範な地域に神とローマの秩序を植えつけていった。
ポルトガルはそれに続き、オランダはカルヴァン派の精神を持って、そしてイギリスはプロテスタントの価値観を携えて。
宗教の布教を掲げて、各宗派は世界を塗り替えていったのである。
やがて18世紀中頃、宗教の流行は冷め始め、「国家」という新たな枠組みが生み出された。
そのときから、宗教の時代は終わり、国旗を掲げた帝国主義の時代が幕を開けた。
帝国主義とは、領土を拡張し、異国の文化や資源を奪い、支配する主義である。
しかし、今やその支配は「目に見えない形」で進行している。
民間企業と国家が手を取り合い、宗教でも国旗でもない、「利便性」と「自由」を掲げながら、
世界のすみずみまで深く染みわたる支配構造。
それがグローバリズムという名の、新しい帝国主義だ。
「民主主義の時代なので、そんなに心配しなくてもいいのでは?」
そう思う人もいるかもしれないが、それはすでに“統治の言葉”に絡め取られている。
民主主義は、もともと18世紀の啓蒙思想を基盤としている。
つまり「頭の良い、理性ある市民が大多数を占める」という前提に立っている。
だが、現実はどうか?
民主主義の最大の欠点は、大衆が愚民化すれば、社会全体がたちまち狂うということだ。
スペインの哲学家オルテガ・イ・ガセットの述べた通りである。
かつては国家が国家を侵略した。
今は、グローバル資本が「個人」を攻略している。
スマートフォンとSNSによって、人間は24時間、目に見えない手で管理される存在となった。
AIとアルゴリズムは、あなたが何を好み、何を信じ、何を買うかを“選ばせている”。
しかも、本人には「自分で選んでいる」と思わせながら。
英語では 「世間知らず」のことをnaïve(ナイーブ)というが、
いま、私たちはひとりひとりが分断された、総「世間知らず」時代に入りつつある。
世間知らずの人ほど、自分を過信してしまう傾向があるという「ダニング=クルーガー効果」が、世界中に静かに広がっている。
あなたが「自分の言葉」だと思っているその口癖。
あなたが「これが私」と信じているその価値観。
それは本当に、あなた自身のものだろうか?
自分の頭で考えよう。
私たちは、私たちの知っているものが全てではなく、目に見えるものが全てでもない。
既に知っている情報や安心できる言説に執着せず、
より上位の枠組み、より深い世界の流れに手を伸ばそう。
この時代を生き残るには、
もう「情報の早さ」や「専門知識」だけでは不十分だ。
必要なのは、「知性」と「品格」。
見えない構造を見抜く力と、それに巻き込まれない内的な静けさ。
言葉を使う技術ではなく、どういう“在り方”で語るかという力だと思う。
「言葉より、話し方こそ重要なのです」
“It’s not what you say, but how you say it that matters.”
– Mae West(メイ・ウエスト 1893 – 1980)
これは、アメリカの女優メイ・ウエストのことばである。内容以上に、発声や「在り方」が相手に与える影響が大きいことを説いた人物だ。
情報が錯綜し、言葉が軽くなったこの時代だからこそ、
私たちは自らの声に、魂の重みや品格を取り戻すべきだと思う。
そういう観点から、あなたにとって必要な語彙や表現から増やしていくことが、あなたが英語をマスターする上で非常に大切となる。
テキストに載っている単語を片っ端から覚えようとする人が多いが、受験勉強と人生は違うのだ。
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